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Last Updated 2012/04/12 22:32:33 (Thu)

既読の一覧。 ジャンルは科学/数学です。

Title: ワトスン君、もっと科学に心を開きたまえ
Author: Colin Bruce
ISBN: ISBN4-04-791321-9
CCODE: C0397
Price: \2000E
Publisher: 角川書店
Publish Date: 1999年6月30日初版発行
1999年12月20日再版発行
原著: "The Strange case of MRS. Hudson's Cat" ©right 1997

シャーロック・ホームズの話の形で物理の基本を解説している。 説明内容はフーコーの振り子から量子論における多重世界論まで。 当然その結果19世紀末のロンドンとは思えないほどの異常に 物理学が進歩する話になるが、そこは作り話と言うことで。

基本的に話は物理で何度かこの手の話を聴いたことのある人でないと ちゃんと判らないと思う。 その意味では初心者に物理の話を説明する、という目的は達成できているとはいえない。 が、お話としてはよくできている。

ISBN4-04-791321-9
タイトル初出
1. 科学好きの貴族 
2. 失われたエネルギー 
3. 原子論を知らなかった医者 
4. 実験を妨害された科学者 
5. 飛ぶ弾丸 
6. 相対的嫉妬をめぐる三つの事件 
7. 迅速至上主義の実業家 
8. 活動的なアナーキスト 
9. 不忠義者の召使い 
10. 誰もいなかった海岸 
11. ハドスン夫人の猫 
12. 失われた世界 
Title: まただまされたな、ワトスン君
Author: Colin Bruce
ISBN: ISBN4-04-791412-6
CCODE: C0397
Price: \2000E
Publisher: 角川書店
Publish Date: 2002年5月30日初版発行
原著: "CONNED AGAIN, WATSON!" 2001年 Perseus Publishing から発行

ワトスン君、もっと科学に心を開きたまえ の続編と言うか、同じ設定のお話。

シャーロック・ホームズのお話の形をとりながら、 確率論に関する面白い話を綴った本。

一つ一つのテーマは目新しいものではない。 が、こう言うのをきちんと知っておくと『詐欺』に引っ掛かりにくくなるので、 是非みなさん一度は読んだ方がいいと思うぞ。

Title: 天才スマリヤンのパラドックス人生
Author: Raymond Smullyan
ISBN: ISBN4-06-211963-3
CCODE: C0010
Price: \1800E
Publisher: 講談社 N.D.C.289
Publish Date: 2004年11月15日第1刷発行
原著: "a Paradoxical Life"

レイモンド・スマリヤンの自伝。 というよりは、自分の人生を織り交ぜたジョークと 論理パズルの本。

結構話が飛びまくるので落ち着きは無いが、 面白い本です。

Title: カオス-新しい科学をつくる-
Author: James Gleick
ISBN: ISBN4-10-236101-4
CCODE: C0140
Price: P720E

「複雑系」と並んでカオス理論に関する科学ドキュメンタリー。

ローレンツ・アトラクターなど、 奇妙なアトラクターをもつ例が山盛り(で、各研究分野事に 最低一人づつ「異端児」の例が載っている)なので、 かなり面白い。

また、巻頭に集中してはいるが、カラーページがあって、 そこには様々な「カオス」の CG が載っているのもきれいでいい。

全般的に初心者向けだが、 それだけに取っつきやすく、良い本。

Title: 宇宙を見つめる人達(The Astronomers)
Author: ドナルド・ゴールドスミス
ISBN: ISBN4-10-241601-3
CCODE: 忘却
Price: 忘却

先端宇宙論啓蒙書

それ以上でも、それ以下でもありませんが、面白いです。 やっぱり宇宙は最後のフロンティアよね。

Title: マサチューセッツ工科大学
Author: Fred HAPGOOD
ISBN: ISBN4-10-531501-3
CCODE: C0098
Price: P1700E
Publisher: 新潮社
Publish Date: 1995年9月25日初版第1刷発行
1995年12月15日第4刷発行
原著: "UP THE INFINITE CORRIDOR" Copyrigh © Fred Hapgood

内容は世界でも有数の大学 MIT の歴史と現状を解説した本。

この本は結構いろいろとエンジニアリングについての本質を突くことが書いてある。 ちょっと書き出してみよう。

アーネスト・ブランコウ教授(p18)
じぶんの馬鹿さかげんにこれ以上耐えられなくなる、 あるいは、 むりやりに目を見開いている必要などないほど じぶんはいろいろなことを知っていると思いこむ瞬間がおとずれたら、 エンジニアリングという仕事を放棄して、 経営の方に転ずるときがきたことになるのである。
あるエンジニアの話(p23)
UFOが地球に着陸し、乗組員があらわれて、 都市やダムや運河やハイウェイや電力供給網の上を飛びまわり、 走りまわる車を追跡し、テレビ塔からの電波をモニターする。 かれらは我々のコンピューターを宇宙船に転送し、それを分解して調べる。 やがて、宇宙人のひとりが感にたえたような声をあげる。 「ああ、自然は偉大だ」。
このエンジニアは、(中略)脅威にうたれ、 創造の偉大さのまえにひれ伏すエイリアンたちが見たいがために、 仕事をしつづけているのである。
別のエンジニアの話(p24)
(概要)サンタフェのレストランでの話。
プログラマーがレシートを欲しいと言うと、店の人間はプリントアウトできないのだという。 プログラマーはプログラムを見せろ、そうすれば理由が判るからと言った。
プログラムを見たとたん、彼は胃痙攣を起こした。 彼が見たものは Spagetti Code だった。
翌日、彼らが言うには、何時間もかけてコードを修正し、全てを書き直したらしい。 アメリカ中で最もコンパクトで、エレガントで、 効率の良いキャッシュレジスター・プログラムは ニューメキシコのレストランでエイリアンを驚愕させるのを待ち受けている…。
ハリー・ウェスト教授(p33)
「わたしが知っている最高のエンジニアは、 かつていちども独創的なアイディアなど思いついたことがない。 彼がしたのは、あちこちぶらぶら歩きまわって、 いろいろな人間の話をきき、そして…そして、 それを組み合わせただけだ。彼は "創造的" といえるかね?」
この業界でのしあがろうとする人間に必要なこと(p48)
だれでも、明快な文章が書けること、 外国語のひとつやふたつは読めること、(中略) などという条件を満たさねばならない。
科学とエンジニアリング(p69)
科学とは自然のリヴァース・エンジニアリングだといえるし、 逆にエンジニアリングは問題解決空間の科学である。

これで読む気にならないなら、あなたはエンジニアにはなれない。 諦めてくれ。

Title: 生物学 -上-
Author: 江上信雄/飯野徹雄
ISBN: ISBN4-13-062041-X
CCODE: C3045
Price: \2800E
Publisher: 東京大学出版会
Publish Date: 1983年11月15日初版
1985年3月30日第2刷

大学の一般教養の生物で使った教科書。

Title: 光速より速い光
Author: João Magueijo
ISBN: ISBN4-14-080841-1
CCODE: C0040
Price: \2300E
Publisher: NHK出版
Publish Date: 2003年12月20日第1刷発行
原著: "Faster Than Speed of Light -The story of a scientific speculation-" © 2003 の邦訳

最初に断っておくと、 これはお馬鹿さんが 光が走っていくのが見える などと寝言をたわけている本ではない。 あの連中はただの馬鹿で幻覚と実験の違いが判っていないのであって、 この本の内容とは違う。

Varying Speed of Light(VSL)理論というものがある。

そもそも問題の発端はこうだ。
相対性理論は光速一定を大前提としてニュートン力学の世界を 時代遅れに持ち込んだ。 同時に時空間という世界を提示した。 この理論に従うと宇宙は膨張することになる。 そしてそのことも観測されている。
それはいいのだが、そうなると1つ問題が出る。
宇宙が最初ドンッと出来上がったとき、 宇宙がここまで均質で、なおかつあっというまに再縮退するほどでも、 あっというまに拡散して冷却されてしまうほどでもなく、 ほどほどの速度で拡大し続けているのはなぜか、 という問題が解けないのだ。 この繊細な初期値の問題は実際やっかいで、 Ωという値が1.0000000000000001と0.9999999999999999の間の値を取る、 というとんでもなく狭い範囲にいることを要求する。

著者は、この問題に光速を可変にすることで対応しようとする。

たとえば、 超ひも理論などでいう所の縮退した次元を仮定するならば、 時空間を進む光は当然それらの縮退した次元をも (縮退していないわれわれが見える3次元と同様)進まなくてはいけない。 この移動はわれわれの眼からは観察できないため、 光は本当の速度よりも遅くしか観測できない。

次元の縮退の度合いなどで光の速度は変化し、 たとえばブラックホールなどに存在する事象の地平線ぎりぎりのポイントでは 光の速度が0に収束したり、 逆に超ひものそばでは光が縮退次元を回避できるようになるので 何倍(1036という数字の場合もありえる)もの速度で光が進むことになる。 このため、通常空間の光速の何百倍で進んでも浦島効果を受けずに済む、 などの面白い現象が発生する (その人がいる空間における光速の何万分の一も出ていないから)。

また、光が可変だと空間には自ら次元縮退を起こしながらエネルギー/質量交換を 行う性質が出る(光の速度を落とすことで質量を生み出す。 真空エネルギーと言われるものに対する説明)という性質がでてくる。 こうなるとΩの値が狭い範囲の初期値を取っていたのではなく、 初期値がどうであれΩは1.0に収束するようにできているのだという性質が発生するなど、 従来説明のつかなかった性質がどんどん説明できるようになる。

唯一の反目点はほぼ確実に特殊相対性理論が廃案になるという点で、 逆に実験によってこの点が確認されることでVSLの是非が調査できる、 とも言える。

おそらく VSL は今後注目するべき理論の1つだろう。 絶対面白いことになる。間違いない。


なお、この本には、科学界や科学雑誌の腐っている側面を 徹底して叩いている、というのも面白い。 彼はかなりその辺で嫌な目にあっているようだ。 分量的には多くないので、ちょうどよいスパイス程度で収まっている。 この辺のさじ加減をきちんとできるのも著者の偉いところだといえよう。

Title: ダーウィン以来
Author: Stephen Jay Gould
ISBN: ISBN4-15-050196-3
CCODE: 忘却
Price: 忘却

ダーウィン進化論とその後の話…。

なんというか、あまり面白いと思わなかった。 基本的にダーウィン進化論に対する批判は本質的には
『やだ!信じたくない』
『そんなのでこれだけのバリエーションが生じるわけがない』
の2通りしかなくて、結局この手の話は後者しか相手にしない。

ところが、ダーウィンの進化論っていうのはいってみれば非線形数学に おける微分方程式と同じで『ぱっ』と見には全然たいしたことをいってない ようにみえるくせに、 そこから派生するものの複雑さたるや『もぅ』と言って泣くしかない。 これは別に論理がおかしいとかじゃなくて、もう単純に

『人間って馬鹿よね。この程度も予測できないなんて』
ってのが原因であるに過ぎない。

こういう

『あなた馬鹿よねぇ、お馬鹿さんよねぇ』
話と言うのは1つ2つ見ている分には楽しいが、 あちらこちらで似たような話を何百と聞かされると、 もうただひたすら『またぁ?』 としか言いたくなくなる。

この本は読んでてちょうどそんな感じ。

Title: 物理学者はマルがお好き
Author: Lawrence M. Krauss
ISBN: ISBN4-15-050291-9
CCODE: C0141
Price: \800E
Publisher: ハヤカワ文庫 NF 291
Publish Date: 2004年5月20日印刷、2005年5月31日発行
原著: "FEAR OF PHYSICS -A Guide for the Perplexed-" Copyright © 1993 by Basic Books

有名な冗談がある。

生産の思わしくない酪農場があった。 ここに3人のコンサルタントが現れた。 それぞれ心理学者、工学者、そして物理学者である。

工学者はこう言った。
「空間の利用効率を上げましょう。
牛一頭当たり8立方メートル程にすればより多くの牛を飼うことが出来ます。
また、搾乳管の直径を4%ほど大きくして、牛乳の平均流量を増やしましょう」

心理学者はこう言った。
「牛舎の内側の色を緑にしてください。 現在の茶色より牛が落ち着き、乳の出がよくなると思われます。
また、牧草地にもっと木を植えてください。 牛が退屈しない牧草地にするとよいでしょう」

最後に物理学者が来て、こう言った。
「まず、牛を球と仮定します…」

これは有名な冗談ではあるが、同時に物理学と言うものの基本をよく表してもいる。

物理学においては、単純な規則だけで説明できる限り、 物事を複雑視してはいけないし、するべきではないのだ。 局所的な例外を調べるのではなく、 全体に通用する共通する法則だけを追い求めるのが物理学であり、 全体に通用する共通の法則以外のものはこの宇宙には存在しない という仮定こそが物理学の基礎だから。

よって、牛を球と仮定してその範囲で説明が付くならば、 牛に頭や手足を仮定する必要は無い。

この本は、そういう事を説明してくれるという意味で、面白い。

ただ、一つ弱点が。 この本、「事例」がマニアックすぎるんだわ。 普通の人が読んでも、この本が本当に言いたい事は全然伝わらないと思う。

Title: アインシュタインの夢
Author: Alan Lightman
ISBN: ISBN4-15-120017-7
CCODE: C0197
Price: \580E
Publisher: 早川書房 ハヤカワ epi 文庫。epi ラ-1-1 17
Publish Date: 2002年4月20日印刷
2002年4月30日発行

ISBN4-15-120017-7 は、 "Einstein's Dreams" の邦訳。

1905年。スイス。
アインシュタイン26歳。
この年、彼は特許庁に勤務しながら、 重要な論文をつぎつぎと発表した。

その中でも、特殊相対性理論の第一論文は、 時間に関する画期的な論文だった。

この小説は、ちょうどこの時代を舞台にして、 アインシュタインが見た かもしれない 様々な性質の時間の世界を30種類の夢の形で述べている。

若干、各設定が甘い気もするが、 時間に関する設定の多様性は実に面白い。

1つの世界のページは4,5ページ程度ですし、 短編集みたい。 想像力もかき立てられます。

Title: 史上最大の発明 アルゴリズム
Author: David Berlinski
ISBN: ISBN4-15-208382-4
CCODE: C0041
Price: \2600E

アルゴリズムとは物事を行う手順の事だ。

その厳密な定義はアラン・チューリングによって与えられたが、 この概念の利用・応用はあらゆる所に、 ほとんど全ての人間の行動に現れる。

しかし、数学はつい最近まで「証明」に重きを置いていた。 「手順」は当然の存在でしかなく、斬新さなどどこにもないと思われていたのだ。 不完全性定理が発見されるまでは。

この本はこの、「証明可能性の崩壊」へ至る道筋と、 その先にアルゴリズムに光が当たるまでを描いている。

残念ながら後ろ1/3程にあるニューラルネットワークや進化論は、 蛇足で魅惑を削ぐ内容。

Title: SYNC
Author: Steven Strogatz
ISBN: ISBN4-15-208626-2
CCODE: C0040
Price: \2200E
Publisher: 早川書房
Publish Date: 2005年3月20日初版印刷
2005年3月31日初版発行
原著: "SYNC --The Emerging Science of Spontaneous Order--" Copyright © 2003 by Steven Strogatz

世の中の多くのものは非線形な規則に支配されている。 これは物理学から、経済システムにいたるまで、あらゆる所に偏在する。 そしてそれら非線形なシステムは、 数学的な予測の難しさ、 非常に小さな差異に対する鋭敏さ、 などの性質からその性質が極めて予測しづらいことが知られている。

もし、そのようなシステムが単純に降り集まってできた世界に過ぎないのならば、 この世には流体力学もニュートン力学も何も成立できないように感じる。 しかし実際には多くの場合、ニュートン力学は物事を正しく予測してくれるし、 流体力学はきちんと粒子の統計的な挙動を説明してくれる。 なぜだろう? なぜこれらの挙動は何兆次元もの次元を持つことなく、 簡単な次数に収まってくれるのだろう?

このような系の中に、同期現象を起こすシステムが多く存在することが知られている。 蛍は一斉に明滅し、人間の体内時計は日中の長さと同期する。 超伝導の世界では電子が2つ、対になって動作しているためエネルギーの散逸が起こらない。 そして心臓は一定の同期を刻み続ける。

これらは全て振動子と、 他の振動子の結果を観察して振動子の動作に影響を与えるフィードバック回路 から成り立っている数学系に置き換えることができる。 もちろん、重力の相互作用などもこれにあたるし、蛍が他の蛍の明滅を観察するのもそうだ。 高速道路における自動車の渋滞もそうだし、 PCIバス上を流れるデータ流量とCPUの演算能力の関係もそうだ。

これらに共通する特徴は、振動子の周波数がある一定の誤差範囲に収まる場合、 フィードバック回路は振動子を同期させたり完全に反転同期させる傾向がある、 というものだ。 振動子の周波数のばらつきが限界を超えるとこの現象は起きなくなる。

工学的にしょっちゅう生じるこの現象のせいで、 計算機が本来の性能を出せなくなるのはしょっちゅうの事だ。 私は何度もそれに苦しめられてきた。

本書は、このような同期現象が頻繁に起こるものなのだ、 という事実を広く伝えてくれる。

読んでいてとても楽しい。 新発見のわくわくが章単位で出てくる。 しかも、どう説明すりゃいいのか判らないぐらい面倒くさい現象の とても判りやすい説明書なのだ。 これはとてもありがたい。

というわけで、この本は、人として読むべき本の一冊。

Title: パズルでめぐる奇妙な数学ワールド
Author: Ian Stewart
ISBN: ISBN4-15-208702-1
CCODE: C0041
Price: \1800E
Publisher: 早川書房
Publish Date: 2006年1月20日初版印刷
2006年1月31日初版発行
原著: "MATH HYSTERIA -Fun and Games with Mathematics-" Copyright © 2004

数学コラムの雄といえば、Ian Stewart である。 やはりこの人の書くコラムは面白い。 数学的なバックグラウンドを、 巧妙なストーリーに組み立てて提示する、 そのストーリー立てがすばらしいのだ。

しかし、そのすばらしさをここで述べ立てるのは無理だ。

というわけで、私のお勧めのコラムを紹介しよう。

11. 日付計算はつらいよ
Emacs の Calendar 機能がどのようにして暦同士の変換を行っているか、 という話。巻末の説明だけでも、保管の価値がある。
14.アコーディオンは「欠陥楽器」か!?
『多面体が、それを構成する各面の形状を変更せずに 連続的に変形するとき、その体積は変わらない。』
という、ある意味驚異の事実のお話。
p207にある「シュテッフェンの多面体」は是非作ってみよう。
16. 陣取りゲームの名人を目指せ
点を結んで升目を作るとその陣を取れる、というゲームの勝ち方の話。 決して一筋縄ではいかないよ、という意味において、 子供のゲームと侮ってはいけない。
もちろん、他のコラムだって面白い。 是非、読んでみてください。

Title: 暗号攻防史
Author: Rudolf Kippenhahn
ISBN: ISBN4-16-765102-5
CCODE: C0198
Price: \762E
Publisher: 文春文庫 キ-10-1
Publish Date: 2001年1月10日第1刷発行

表題通り。 おおざっぱに言えば暗号に関する歴史のお話。

この本が普通の暗号の話と微妙に違うのは、 特に古典的な暗号に関しては単に暗号化の方法だけではなく、 その破り方も説明している、 という点だ。 特にエニグマに関してはかなりページを割いていて、 興味深い。

暗号やぶりが好きな初心者にはたまらないであろう一冊。

Title: 回帰分析の基礎
Author: 早川 毅
ISBN: ISBN4-254-12527-5
CCODE: C3341
Price: \2900E
Publisher: 朝倉書店、統計ライブラリー
Publish Date: 1986年12月10日初版第1刷

統計でデータを取ると、 次にやるのはそのデータが満たしていると思われる数学モデルへのマッピングだ。 で、中でも「直線上に載る」というのは非常に魅惑的なモデルだ。

ところが、計測結果には計測誤差もあればノイズもある。 計測結果が一直線上に載らないからと言って、 直線の数学モデルが間違っているとは限らない。 だからといって、とんでもなくバラバラなものが直線に載っているとはいえない。 さらに、仮に直線に載っていると仮定した場合に、 その方程式の定数項や係数がどういう値なのか解らなくては意味がない。

回帰分析というのは、ようするにこれらの問題を解くための数学的な手段。 計測データに一定の分布のノイズが載っていると仮定して、 そこからある数学モデルに一致すると仮定した場合の、 係数の値と、一致度合いを定量的に割り出す、 という事をする。

Title: 大学課程 電気回路(1)
Author: 榊 米一郎 & 大野克郎 & 尾崎弘
ISBN: ISBN4-274-12675-7
CCODE: --
Price: 定価2000円
Publisher: オーム社
Publish Date: 昭和43年6月30日第1版第1刷発行
昭和55年9月20日第2版第1刷発行
昭和60年2月20日第2版第9刷発行

大学の教科書。 電気回路。 1は基本的な抵抗回路、インピーダンス、インダクタンスの回路と、 そこに正弦波の電源がかかったときにどうなるか、 を基本として解析のやりかたの基本が述べられている。

Title: ものが壊れるわけ
Author: Mark E. Eberthart
ISBN: ISBN4-309-25184-6
CCODE: C0042
Price: \2200E
Publisher: 河出書房新社
原著: "Why things break - Understanding the world by the way it comes apart" Copyright © 2003 Mark E. Eberthart

世の中には材料工学と言う学問がある。 ある目的のために適切な材料は何か、 新しい材料は作れないかを研究する学問である。

ものを作ろうとすると、材料がいる。 材料が物であり、物が原子や分子の集まりである以上、いつかは壊れる。 この工学は、どのような物質にどのような力が加わると、 いつ頃壊れるかを研究している。

しかし、これではその材料がなぜ壊れるのかは判らない。 理由が判らない、 という事はある材料と微妙に組成の異なる材料を持ってきた場合、 その物理特性は丸々再調査するしかない、と言うことだ。 物性にはほんのわずかな不純物の分量が物性を大きく変える場合が多々あるからだ。

これでは困る。
ちょっとした間違いで硬かったはずの素材が脆くなっていてはたまらない。
ほしい性質と微妙に違う素材がある場合に、 それをどうすれば目的に合致する性質になるのか、 それともそれを弄っているのでは目的の性質は得られないのか、 予測がつかない。
工学と言うのは論理的予測に基づいて、 目的をより安全に多少の間違いがあっても成功する方法を見つけ出す学問だからだ。

著者は、この世にも珍しい壊れるという現象の、 発生メカニズムを研究している。 物の基本構造が力などを受け、どのように変化し、 それがどのようにして瓦解へと至るのか、 が研究のテーマである。

この本では、研究の背景的知識が6割以上を占めている。 2割ぐらいが合金についての話、残り2割は著者の話だ。 というわけで、実はこの本、 表題と違ってあまり破壊のメカニズムについては述べられていない。 その意味では最後に肩透かしを食らう。

しかし、それでもこの本は読んでおくべきだろう。 ちょっと視点を変えると、今まで手垢まみれになるぐらい研究されてきた、 と思えるようなジャンルでも、 本質が判っていないことがある、という事実に気がつくからだ。
破壊現象は、 加工と道具としての性質の維持の根幹を成す知識である。 我々は材料が壊れる過程を利用して加工し、 一旦加工したらそれが壊れないように道具として利用している。 これは石器の時代からずーっとそうなのだから、 いい加減壊れるという現象がどういうことなのか、ぐらい判っていてもよさそうだが、 これがぜーんぜん判っていない。
そんなこと、この本を読むまで気がつかなかったよ。

Title: 小さな塵の大きな不思議
Author: Hannah Holmes
ISBN: ISBN4-314-00957-8
CCODE: C0040
Price: \2800E
Publisher: 紀伊国屋書店
Publish Date: 2004年3月31日第1刷発行
原著: "The Secret Life of Dust" © 2001

この地球も宇宙塵が凝縮してできたわけだし、 人間が動くだけでも膨大な塵が発生する。 そしてそれらは地球の気象にも影響を与えるほどの質量と 表面積を持っている。

いまだ謎の多い塵について書かれた本。 いろいろ勉強になりますよ。

Title: 機械計測学
Author: 森田矢次郎
ISBN: ISBN4-320-07970-1
CCODE: --
Price: 定価2500円
Publisher: 共立出版
Publish Date: 1970年10月15日初版第1刷発行
1986年3月10日初版8刷発行

機械計測に関する教科書。大学で使っていた。 ただし、この本、流体論理素子などかなり面白いものが載っている。

教科書であるという事から、 基本原理を説明するときに数式などがでてくるため、 初心者向けではないかもしれないが、 この方程式の部分をもう少し簡単な説明にすれば、 多くの人が楽しめる楽しい本だと思うのだが…。

少なくとも、「小学校高学年以上」の人達版は是非作って欲しいものだ。

Title: SFアニメの科学
Author: 福江 純
ISBN: ISBN4-334-78166-7
CCODE: C0140
Price: \552E
Publisher: 知恵の森文庫 ふ 2-1
Publish Date: 2002年6月15日 初版第1刷発行
初出: 「SFアニメを天文する」 1993年12月 日本評論社刊

元々の本に、ネタを5個追加して合計15章立てにした。

SFアニメから、強引に関連する天文/量子力学などに関する話を導き、 これらについての基礎知識を紹介する、という本。

まぁ、ほとんど笑って許せる範囲なのだが、唯一『超人ロック』だけは…
「おまえ、それは関係ないだろう?」
というぐらい違う…。

そこんところだけですかね、問題なのは。

なお、内容の面白さ的にはあまりたいしたモノがありません。 何なんでしょうか…

Title: ナッシュは何を見たか
Author: Edited by Harold W. Kuhn & Sylvia Nasar
ISBN: ISBN4-431-71038-8
CCODE: C3041
Price: \3500E
Publisher: シュプリンガー・フェアラーク東京
Publish Date: 2005年10月26日初版発行
原著: "THE ESSENTIAL JOHN NASH" Copyright © 2002 by Princeton University Press.

ナッシュ均衡という言葉をご存知だろうか? たぶん、最近だと「プレジデント」とか「東洋経済」とかいう雑誌の方が よく使っている用語だ。 もともとはゲーム理論の概念の一つで、 非協力ゲーム(プレイヤー同士が事前になんら申し合わせをしない種類のゲーム) に存在する局所解の事を言う。

たとえば、2人のプレイヤー A, B がいたとする。 この二人は絶対的な理性によって支えられている。 双方に2種類の戦略が与えられているとする。 ゲームを開始した瞬間に、 二人のプレイヤー A, B は誰がどの戦略を選んだらどの程度の利益があるのかを、 相対的に比較できるとする。結果が次のようだったとしよう。
(Pa,Pb)A1A2
B1(3,5)(4,7)
B2(8,4)(9,2)

A は A1 と A2 では常に A2 の戦略の方が利益が大きい。
B は B1 と B2 では常に B1 の戦略の方が利益が大きい。
それぞれが、相手の事を全く慮ることなく戦略を選ぶならば (A2, B1) が選ばれる。これがナッシュ均衡と呼ばれる状態である。 つまり、A にとって (A2,B1) の状態から A1 へ戦略を変更する理由は無く (利益が 4から3に減ってしまう)、 B にとっても B1 から B2 に戦略を変更する理由は無い(利益が 7から2に減ってしまう)。

結果、合計スコアではもっとも高くなるはずの(A1,B2)戦略は絶対に選ばれることが無い、 というのがナッシュ均衡のポイントになる。


この理論をはじめとして、いくつもの画期的な数学上の発見をした John Nash は1928年生まれのアメリカ人。 カーネギー・メロン大学(当時はまだカーネギー大学)を卒業する際に、 卒論で一緒に修士号ももらった天才である。

20代で「ナッシュ均衡」「リーマン多様体の埋め込み問題」などを 発見したあと、統合失調症を発病し、長く存在を忘れられてしまう。 が、1994年のノーベル経済学賞受賞とともに復調。 今では、ナッシュ・プロジェクトのリーダーとして失われた30年を取り戻すかのように 精力的に活動しているらしい。

この本は、John Nash の略歴と、彼が書いた論文

  • 交渉問題
  • n人ゲームにおける均衡点
  • 非協力ゲーム
  • 2人協力ゲーム
  • 並列制御
  • 実代数的多様体
  • リーマン多様体の埋め込み問題
  • 放物型方程式と楕円型方程式の解の連続性
の邦訳が載せられている。

はっきり言って、論文が主体であり、特に後半の3本は その表現の難しさは半端ではない。 「ほら、ほれ、この通り〜」と書いてある裏がどんだけあるかと考えるだけで…。 それだけに面白いですよ。

Title: 知の限界
Author: Gregory J. Chaitin
ISBN: ISBN4-434-01238-X
CCODE: C3041
Price: \2800E
原著: "The Unknowable"

ゲーデルの不完全性定理という定理がある。 すごく乱暴に言うと、形式公理系では
命題:この命題は証明できない
のように、矛盾しているか、証明できない内容が記述できてしまう、 という事だ。 このため、数学は「公理」を除去することはできないか、 「公理」を除去しようとすると無矛盾な世界を構築できなくなる、 というものだ。

チューリングの停止決定不能という命題がある。
チューリングマシンという万能計算機を用意する。 この計算機の上で、 あるプログラムが計算を終了して停止するかどうか判定する プログラム H を書けたとする。 このプログラム H は停止するなら true を、 停止しなければ false を返すようなプログラムだ。
ここで、プログラム P を次のように作る。

res = H(P);
while ( res == true ) ;
プログラム P が停止すると判定されたならばこのプログラムは while 文を永久に回り続け、 停止しないと判定されたならばこのプログラムは停止するのだ。
このことから、プログラム H を作ることはできない、 という事が判る。

この2つは、『論理』と言われるものに限界があることを示している。 では、その限界はどこら辺にあるのだろう? すっぱりと線引きできるものなのか これが、20世紀後半以降の難題になっている。

Chaitin はこのテーマに関する第一人者の一人である。 この本は Chaitin のこのテーマに関する説明がある…はずだった。

残念ながら、この本をいくら読んでも、 彼の説明は途中で回顧録になるばかりでまともな説明にならない。
例えば、あるプログラムのプログラムサイズの下限値は決定不能である。 決定不能なのだが、どうして決定不能で、 どう決定不能なのかまるで書いてない。 これが本当なら、 コンパイラーでサイズ最小のコードを生成する時に 何バイトにまではなるのか、何バイトいかにはならないのかを 判断できない事になるので、 これはどのような状況で決定不能になるのか、 それとも決定可能な場合の方が少ないのかは とても重要な事のはずなのだが…。

と言うわけで、残念ながらこの本はあまり役に立たない。

Title: 言語学のすすめ
Author: 田中春美 樋口時弘 家村睦夫 五十嵐康男 倉又浩一 中村完 下宮忠雄
ISBN: ISBN4-469-21071-4
CCODE: C3080
Price: \1800E
Publisher: 大修館書店
Publish Date: 1978年5月1日初版発行
1986年7月1日第12版発行

「自然言語概論」のような本だと思えば良い。

自然言語に関する研究について、 実に広範に述べている。 残念ながら自然言語に関する話はほとんど知らないので、 内容を評価する事までは、 私にはできない。 概論の教科書としては良いと思うのだが…。

Title: 数学で身につける柔らかい思考力
Author: Rob Eastaway & Jeremy Wyndham
ISBN: ISBN4-478-82008-2
CCODE: C0041
Price: \1500E
Publisher: ダイヤモンド社
Publish Date: 2003年6月5日 第1刷発行
2003年9月16日 第4刷発行
原著: "HOW LONG IS A PIECE OF STRING?" Copyright © 2002 Rob Eastaway & Jeremy Wyndham

数学の面白い話…特に統計とフラクタル回りを中心にした話を、 著者自身の手で面白くアレンジしなおしたものを紹介した本。 証明の仕方のいろいろとか、 1週間が7日ある理由とか、 空間細密充填の話とか、 なかなか面白かった。

説明はかなりはしょっていて結論しか書いていない部分もあるが、 逆にその部分が読みやすさを醸し出していて良い。

個人的には The Lincoln Index の話が役に立ちそうだ。

Title: Why Not? -エール大学式 4つの思考道具箱-
Author: Barry J. Nalebuff & Ian Ayres
ISBN: ISBN4-484-04112-X
CCODE: C0030
Price: \2400E
Publisher: 阪急コミュニケーションズ
Publish Date: 2004年3月30日 初版発行
原著: "Why Not?", Copyright © 2003 by Barry J. Nalebuff & Ian Ayres, All Rights Reserved.

エール大学の Nalebuff教授とAyres教授による、 新しい発想の生み出し方、解説本。

基本的に、次の4つの発想法を提示しており、 それらによって何が見えてくるのか、を示している。

  • 無限リソース前提
  • 同じ目的を目指すように動機付けをする
  • 応用
  • 論理 statement の各部分を 逆転させて見る

無限リソース前提などはよくやる方法だ。 論理的に不可能かどうかをまず見極めないと無駄な時間を使うことになる。 ここで、論理的には可能だがリソース的に不可能だ、という事を発見すれば、 あとはどうやって消費リソース量を軽減するか、 という命題に落とすことができる。

動機付け変更は、 普段使っていなかったのでちょっと応用して見ようかと思う。

応用。要するに自分がやっていることの本質を捕まえ、 それを使える別ジャンルは無いか探す、と言うもの。 通常の問題解決が「問題を解く」のだとするならば、 これは答から問題を探すというもの。 結構得意だ。

最後が論理 statement の各部分を逆転させて見る。 これは簡単だが結構深い。 逆転させてもなお成立するならば、実は関係ないんじゃないか、のようにデバッグにも使える。 視点を逆転させる事で新しく思いつくこともあったりする。 よくお世話になります。

掲載されている実例もなかなか興味深いものばかりだ。

これは、人類皆読んでおくように。

Title: 虚数の情緒
Author: 吉田 武
ISBN: ISBN4-486-01485-5
CCODE: --
Price: --

厚みが 5.3cm もある、 G.E.B. に戦いを挑んでいるかのような、本。 ちなみに、 G.E.B. は 4.5cm なので、この本の方が勝っている。

本の内容は、中学生2年生レベルの数学からはじめて、 オイラーの公式を「感覚的に理解」させる前半と、 そこからニュートン力学、ベクトルを経由して、 量子力学までを説明している。

この本の特徴は3つ。

  1. あらゆる初出の漢字の読みにはすべてルビが振ってある。 このため、最後まで読みこなす頃にはかなりの数の漢字を 読めるようになっている。
  2. 具体的計算例(式演算ではなく、数値計算)が 結構豊富で、「ほら、本当にそういう感じになるでしょ?」 という例がきっちり出ていること。
  3. 作者が「アクの強い」人で、その「アク」が全開になっている っぽいこと (当人はきっと「そんなことはない。こんなもんじゃない」 と言うだろうなぁ、と想像できる所もあるので絶対じゃないが)

最初にとっかかるまでが大変だが、 慣れてしまえばとても面白い。 超お勧め本。

お勧め対象は、中学生、高校生、大学生 (ラプラス変換の基本であるオイラーの公式の説明があるからね)、 あと『心の中学生』である社会人、 ならびに「親」である。

なお、「精密な証明」はない。 ので、大学生以上の人は大学で習ったことを思い出しながら読むこと。

Title: ウェーヴレット ビギナーズガイド
Author: 榊原 進
ISBN: ISBN4-501-52270-4
CCODE: C3041
Price: P4120E
Publisher: 東京電機大学出版局 数理科学セミナー
Publish Date: 1995年5月20日第1版第1刷発行

フーリエ変換という概念がある。 あらゆる「波」を時間方向に無限長の大きさを持つ 正弦波の和として表そうという考え方だ。 この考え方は周波数分解という点からすると優れているのだが、 「時間方向に無限長である」という正弦波の性質のせいで、 減衰する波を表現しようとすると逆に表現がややこしくなる、 という弱点がある。 たとえば、ピアノの演奏をまるまる1曲分データとして取り込み、 これをフーリエ変換しようとすると 「キーを叩いている時間帯」の波のための成分を 「キーを叩いていない時間帯」の部分で打ち消す成分を与えなくてはいけなくなり、 逆に複雑化するのだ。

ウェーヴレットというのは、 この「減衰する」という概念を取り入れた波の表現形式である。 まず、ある規定された単位時間に出力0から始まって出力0で終わるような (広義にはそうでなくても構わないのだが) 基本的な波の形を決める。これをマザー・ウェーヴレットと呼ぶ。 このマザー・ウェーヴレットを、 周波数を変えたり、時間の長さを調節したり、 最大振幅の大きさを変えたりして作り上げたウェーヴレットと呼ばれるものの 集合で、 「波」を表そうというものだ。

当然ながら時間方向の概念が出てきているので、 パラメータは増大しているが、 波を表現するのに必要なマザー・ウェーヴレットを適切に選択すれば、 時間的に限定された空間での特徴点などを抽出しやすくなる。

この本はこの、ウェーヴレットという考え方の基礎を説明した本。 数学としてはフーリエ変換の三回りぐらいややこしさが増しているので、 「この本を読めば今日から君もウェーヴレットマスター」 というわけにはいかないのだが。

Title: 自己組織化と進化の論理
Author: Stuart Kauffman
ISBN: ISBN4-532-14769-7
CCODE: C3045
Price: \2500E
Publisher: 日本経済新聞社14769
Publish Date: 1999年9月13日1版1刷
2000年2月3日5刷
原著: "AT HOME INTHE UNIVERSE: THE SEARCH FOR LAW OF SELF-ORGANIZATION AND COMPLEXITY" © 1995

スチュアート・カウフマンと言えば、 複雑系の研究で有名なサンタフェ研究所の関係者の中でも特に、 生物複雑系ならびに自己組織化理論の第一人者。 さらに言えば、大事故を起こして病院にいる間に複雑系に目覚めたという 天恵型の複雑系研究者。

この本でのテーマはタイトル通り、 自己組織化と進化がテーマ。


生命の複雑な化学反応組織は、 従来の通常の確率計算だとその基本的な反応でさえ、 この宇宙が100回以上繰り返されないとあり得ないことになる、 という試算がある。 カウフマンの主張は、これは過小評価だ、というものだ。

化学反応には反応を促進する触媒というものが存在する。 有機物の反応は生成物がさらに別の反応の触媒となり、 反応が連鎖的に加速していく、という性質のものが多い。 カウフマンはこの点に注目して、 複数の化学反応の生成物が相互に互いを加速し、 結果それら生成物同士の更なる反応が発生する、 という化学反応の自動的な組織化が起るに違いない、 としている。 この結果、生命というのは実は想像よりも遥かにありふれたものであるに 違いないと。 彼はこの現象を自己組織化と呼んでいる。


進化も似ている。

生物におけるある変化が個体の生存にとって有利な場合、 その個体数は増大する。 カウフマンはこの現象は生物が「適応空間」を探索する行為である として表現している。 この場合、空間探索を行うためには、 ある生物の「現在の状態」を記述する形式があまりにも「圧縮」されていると、 単に致死記述が増えるだけになってしまう。 つまり生物が自分を記述しているDNAはある程度の冗長性が必要になる。 一方で冗長すぎれば進化速度が遅くなる。 この進化速度の適度なバランスがまず必要になる。

さらに共進化という現象がある。 共進化の面白いところは、 2つ以上の生物が互いに互いの環境として働く点だ。 たとえば虎が鹿を押そう場合を考えよう。 鹿は虎に捕まらないように、早く走る、という戦略を選んだとする。 すると虎も鹿を捕まえるために早く走れるようにならなくてはいけなくなる。 つまり虎にとっての最適点は鹿が進化したために移動してしまったわけだ。 当然、虎はこの最適点を追ってより早く走れるようになるだろう。 するとそれまでは 早く走れたから安全 だった鹿は もはや安全ではなくなり、 鹿にとっての安全な生存可能域も移動してしまう。

このような相互依存現象はやはり、 進化システム自体がある種の自己組織化を起こしているからこそ 発生するのだと説明することができる。


この本は全体的に若干読みづらい。 書かれている内容がカウフマンの「予想」であり、 彼が考えている「モデル」であって、 決して具体的な証拠が見つかっているわけではないからだ。 結果として、彼の話は極めて抽象的な話か、 あるいは物凄く単純化したモデルでの話に終始してしまい、 現実の出来事との対応をとることができない。

そういうことを念頭に置いたうえで読めば、 とても面白いです。 そもそも複雑系は様々なジャンルを横断する形で存在する、 非線型な特徴を捕らえる学問ですからね。

Title: [理工系基礎]線形代数
Author: 丹野修吉・菅野恒雄 共著
ISBN: ISBN4-563-00189-9
CCODE: C3041
Price: \1400E
Publish Date: 昭和60年1月10日 初版発行

大学で使っていた線形代数の教科書。

日本の大学の教科書の常として、 大学の授業でやる分しか書いていない。 端的に言えば 大学の先生の説明無しには理解できない 本。情報量は 必要量 は満たしているが 十分量 ではないので、 これだけでは判らない人間が出ても不思議ではない。

最近、アメリカの「大学の教科書」を翻訳したものが たくさん日本でも販売されるようになっている。 それらを読めば判るが、それらの教科書は必ず、

  • どのような読者を対象としているのか
  • どのような構成になっているのか
  • 参考文献は何か
が明確であり(第一章は必ずこれに費やされる)、さらに
  • 話に流れがある
  • 十分量の知識が書かれている
  • 「てにおは」や「語調」がしっかりと均質で、十分練られている
  • 明快で、楽しい
など、その本を読んだだけで読んでいる人が迷わないようにできている。

日本の学生が勉強しない、などというが、 これでは勉強する方がおかしい。 面白いものをつまらなく説明しているのだから。

そうかぁ。
卒論で文章がうまく書けないと思ってたら、道理で。 こんな悪文を15年以上押し付けられたら、 誰でも文章の書き方が下手になるよね。

Title: 電磁気学
Author: 西巻 正郎
ISBN: ISBN4-563-03138-0
CCODE: C3054
Price: \1600E
Publisher: 培風館
Publish Date: 昭和49年9月10日初版発行
昭和60年5月20日初版第10刷発行

大学での教科書。 電磁気学。 他にどう説明しろというのかと言うぐらい、 教科書である。

Title: 電気系の確率と統計
Author: 佐藤拓栄
ISBN: ISBN4-627-00240-8
CCODE: C3341
Price: \1600E
Publisher: 森北出版 数学ライブラリー24
Publish Date: 1971年1月30日第1版第1刷発行
1984年1月31日第1版第7刷発行

大学の教科書。 内容は表題通り。

Title: 史上最強 科学のムダ知識
Author: 平林 純
ISBN: ISBN4-7741-1929-6
CCODE: C3040
Price: \1340E
Publisher: 技術評論社 M-code 407431
Publish Date: 平成16年1月25日 初版第1刷発行

物理法則とはえんもゆかりもないものを 無理やり物理法則にマッピングしたり、 とても普通はやらないようなことを無理やり物理法則で推し量ったり して愉しむ、という本。

著者はどっかの研究所か大学に勤めているのだと思う。 しかも、かなりの物理シミュレータをこき使う仕事らしく、 本当に計算機でシミュレーションをしてみたりと、 かなり笑える。

努力に比例しているとは思えないが。

Title: へんな毒 すごい毒 -こっそり打ち明ける毒学入門-
Author: 田中真知
ISBN: ISBN4-7741-2858-9
CCODE: C3047
Price: \1580E
Publisher: 技術評論社
Publish Date: 平成18年10月1日 初版第1刷発行
平成19年05月1日 初版第3刷発行

動物毒・植物毒・鉱物毒・麻薬 の4種類に大別した上で、 毒がどのように作用するのか、 ものすさまじく大雑把に書いた本。

どちらかというと、大抵の薬物は毒にも薬にもなるという事を、 毒にも薬にもならない技術的表現で一生懸命述べている本… と言った方がよいかもしれない。 まぁ、役に立っちゃうとそれはそれで困るしねぇ。

と言うわけで、一過性の面白さはあるが、それ以上のものはありませんでした。 よかった、よかった。

Title: 電気機器とパワーエレクトロニクス
Author: 佐藤 則明
ISBN: ISBN4-7856-1091-3
CCODE: C3054
Price: \2800E
Publish Date: 昭和 55年3月21日初版第一刷発行
昭和 59年7月10日 初版第4刷発行

大学の教科書。 乱暴に言えば強電の教科書である。

今読んでも、クランクランするところからして、 右から左へ抜けていった教科の一つだろう。

Title: イヴの七人の娘たち
Author: Prof. Bryan Sykes
ISBN: ISBN4-7897-1759-3
CCODE: C0097
Price: \1600E
Publisher: ソニー・マガジンズ
Publish Date: 2001年11月10日初版第1刷発行
2002年9月26日第4刷発行
原著: "The Seven Daughters of EVE", Copyrigh © 2001

実は日本人においてはあまり目新しい情報ではないが、 細胞の中にあるミトコンドリアという部品は、 独自の遺伝子(DNA)を持っている。 なぜ目新しくないかと言うとパラサイト・イブと言う SFホラーでさんざん取り上げられたからだ。

で、これまた同じホラー小説で取り上げられている事実ではあるが、 このミトコンドリア、よほどの事がない限り母方からしか遺伝しない。 卵子は、精子からは細胞核以外ほとんど全く受け取らないからだ。

別の言い方をすると、ミトコンドリアのDNA(mtDNA)を追跡すると、 母系のDNAを追跡することができる。 mtDNAの突然変異率は計算できるので、 DNAコードの合致率を追跡していく事で系統図が描けるわけだ。 この結果、1987年に発表された事実によると、 我々はアフリカの辺りにいたたった一人の 女性(イブ)から出発したことがわかっている。 外のmtDNA系列は存在しなかったか、 途絶えてしまったわけだ。

さて。著者のBrian Sykesは mtDNA を中心にリサーチをしている人だ。 5000年前のアイスマンから得られたmtDNAを使って彼が現代ヨーロッパ人の祖先だという 事を証明したり、 ポリネシア人のmtDNAを用いて、彼らが西から東へと(海流を逆流して)流れてきたのであって、 南米から(海流に乗って)やってきたのではない事を証明したり、 という作業を続けている。

そんな彼がヨーロッパで発見したのは、ヨーロッパのmtDNAは大きく7つに分かれること、 それも全く独立した7種類ではなく順番に分岐していった7本の筋である、という事実だった。 最終的に彼はその7人を「イブの7人の娘たち」として、 mtDNA変異から分析される年代から推測される生活様式などと共に説明していく。

個人的には後半のその7人はどうでもよい。 彼自身書いているが、「自分と無関係な人達の親族の話」は退屈なのだ。 しかもかなりの想像が入っているし。

個人的にはポリネシア人の話が最も面白かった。 が、やはりパラサイト・イブのおかげで、 この本の内容にはあまり新規発見はなかった。

Title: アダムの呪い
Author: Bryan Sykes
ISBN: ISBN4-7897-2279-1
CCODE: C0097
Price: \2000E
Publisher: ソニー・マガジンズ
Publish Date: 2004年5月30日初版第1刷発行
原著: "Adam's Curse" Copyright © 2003

イヴの7人の娘たち の続編…というわけではないがきわめてそれに近い本。

前の本 では、ミトコンドリアのDNA(mtDNA)に注目し、母系の系譜を追跡した。 では、父系の系譜を追跡するのに使えるものは? 性染色体 Y である。

人間の性染色体はXとYの2種類がある。 遺伝子が「ペア」で存在している人間の場合、 XX(両方ともX)だと女性に、XY(一方がY)だと男性になる。 YYだと死亡してしまう。 という事は、Y染色体は男性からしか遺伝しない。 という事は、あなたが男でY染色体を持っているならば、 そのY染色体はあなただけでなく、あなたの父親も、父方の祖父も、その又父も… 全員が同じY染色体を持っていたはずなのだ。

そこで、父系の追跡が始まる。 最初は著者の姓サイクス (ヨークシャー語で湿原を流れる小川 を意味するサイク から派生したといわれる) を持つ人の多くが同じY染色体を持っていることをを知る。 やがてスコットランドの島々の王として知られた武将サマーレッドのY染色体が 予想以上に広まっていることを、 それよりも広い範囲で発見されるY染色体がチンギス・ハーンの時代に丁度 モンゴルの辺りに収斂することを発見する。

さらに著者はあるY染色体が通常の確率よりも高い確率で男の子を作ることがあることを発見する。 が、同時に逆、つまり女の子ばかりになるケースも発見する。 そして、性淘汰の考えからこのY染色体と生存戦争を行い、 特定の性別を増やそうとしているのはY染色体とミトコンドリア(mtDNA)の 戦いに違いない、という結論に到達する。

ミトコンドリアは母系でしか伝わらず、Y染色体は父系でしか伝わらないため、 男はミトコンドリアにとって「遺伝のdead endを意味する」のだ。

最後にY染色体が実はそれ自体dead endに近いことを説明して終わる。 なにしろ、Y染色体は遺伝子を交換できる「ペア」が存在しない。 このため壊れちゃうと壊れっぱなしなのだ。 他の遺伝子のように対になる相方と遺伝子を交換して修復することができない。 なのに、卵子と違って何万回も分裂を繰り返す(卵子は、受精後24回分裂すると新世代の卵子になる)。 これでは劣化してくれと言っているようなものだ。

ミトコンドリアとY染色体が生存競争をしているというのは目新しい情報だった。 Y染色体がぼろんぼろんな状態だ、というのも。

でも、実はこの本を読んでいて、私にとって示唆的だったのはそんな所じゃなかったりする。

遺伝子などを見るために自分の血液中の白血球を使うのはよくあるらしいが、 生きている血液を自分で処理してはいけない
理由は体外に出て行った血液は雑菌などに汚染されるから。 汚染された体液であっても、免疫システムは自分の一部として受け入れてしまい、 生命の危険に繋がりかねないため、このような操作は必ず他人が行わなくてはいけない。
ということは、LinuxのようなKernelを self build するということ自体、危険じゃ…。
同じCPUで同じOSを使ってビルドするのでは、ビルド環境が汚染されているウィルスに、 ビルドしたkernel binaryも汚染されていることになる。
異なるCPUで、しかも異なるOS上で、 クロスビルドしてはじめて安全なバイナリといえるのではないだろうか。
性差は生存競争、特に微生物などに対するsecurity故に存在する
じゃぁ、「zSeriesもiSeriesもpSeriesもxSeriesも全部Linux」なんて戦略、ダメじゃん。 せっかくHWを変えているのに、同じ弱点を持つコードを使ったら、 Security Hole一発でシステムが全滅するってことだよ?
サーバシステムを特定OSだけで固めるなんてのは死んだも同然。 最低でも3種類のOSを突破しないとDBに到達しない、ぐらいの配慮は欲しい。 できればCPUの種類も全く異なる3種類が欲しい。
コナミドリムシのような細胞では、 性行為に際して融合する細胞同士の葉緑体やミトコンドリアは 相互に相手の葉緑素,ミトコンドリアを破壊を始める。
これはミトコンドリアなどの細胞質上のDNAにとって性というのは全く意味を持たないから。 なにしろ彼らは遺伝子の組み換えなどしない。 新しい種類のミトコンドリアの侵入は単にライバルが増えるだけでしかない。 そこで、ライバルを叩き潰すわけだ。
コナミドリムシは少しでも被害を小さくするために、 予め葉緑素が多い細胞と少ない細胞、ミトコンドリアが多い細胞と少ない細胞を決めておく。 そうすれば数が多いほうが一般的に勝利するので、予め無駄な投資を多く行う必要がなくなる。
実はこれが性が2つある究極の理由で、精子に細胞質がほとんどない理由でもある。 卵子の細胞質との戦争を避けるために、予め細胞質がたっぷりある細胞と、 ほとんどまったくない細胞を用意したわけだ。 これこそが性が3つでも4つでもなく、2つな理由である。
という事は、アプリケーションなんかもそうか…。 もしかして同一HWに乗っているOSも?

いつもの事だが、生物学系の本は新しいことが書いてある場合、 とても勉強になる。

Title: 囚人のジレンマ -フォン・ノイマンとゲームの理論-
Author: William Poundstone
ISBN: ISBN4-7917-5360-7
CCODE: C1042
Price: P2600E

ゲーム理論に関する、 科学ドキュメンタリー。

ゲーム理論は、特に「繰り返し」のある場合に、 「それまでの結果に行動を左右できる」 という特徴があり、複雑系を作り上げることができる。 その意味で奥が深いものがあるのだが、 それらの中の興味深いものをいくつか紹介している …たとえば「ドル・オークション」とか… という意味で読む価値がある。

Title: ウィルスの反乱
Author: Robn M. Henig
ISBN: ISBN4-7917-5430-1
CCODE: C1040
Price: P2200E
Publisher: 青土社
Publish Date: 1996年1月15日 第1刷発行
1996年4月30日第3刷発行
原著: "A DANCING MATRIX" Copyright © 1993 Robin M. Hening

ウィルス

この小さなRNAの塊は、 自己増殖能力すらないにもかかわらず、 正常な細胞に寄生し、 強烈な勢いで自己増殖を果たす。

すさまじい勢いで突然変異を繰り返し、 細胞が持つ防御機構も、 免疫機構も突破して取り付き続ける。

この恐るべき半生命体がどのような条件で蔓延するのかの研究は進んでいるが、 その研究結果は思ったほど日常生活に浸透していない…

この本は1993年当時の最新ウィルス研究成果について、 判りやすく読みやすくまとめたもの。 非常に興味深い多くの症例が説明されています。

Title: 量子力学の奇妙なところが思ったほど奇妙でないわけ
Author: David Lindley
ISBN: ISBN4-7917-5601-0
CCODE: C1040
Price: \2600E

量子力学は奇妙な世界である。 どうしても「確率」が関与していないと上手く説明できない。 宇宙は決定論的に決まっているんじゃないのか?と言いたくなる。 でも一方で、全くのでたらめでもない。 ミクロで見ると全然決定的ではないのに、 マクロでみると決定的になる。 そんな奇妙な量子力学の世界について説明した本。

ちなみに、これを読んだからといって、 疑問が解けるわけではありません。 単に
「慣れる」
だけです。 これなら「慣れないで疑問に思い続ける」ほうがよほどいいんじゃないか、 と思うのは気のせいだろうか…。

Title: パラドックス大全 -世にも不思議な逆説パズル-
Author: William Poundstone
ISBN: ISBN4-7917-6143-X
CCODE: C0010
Price: \2800E
Publisher: 青土社
Publish Date: 2004年10月15日第1刷発行
2005年1月15日第3刷発行
原著: "LABYRINTH OF REASON" Copyright © 1988 by William Poundstone

この人は、 囚人のジレンマ ビル・ゲイツの面接試験 の作者でもある。 前出2冊の受けがあまりにも良かったので、 3匹目のドジョウをを狙った…のでもないだろうが、 この本は 1988年 の本を邦訳したものである。

この本は逆説(パラドックス)を扱ったものである。

パラドックスと一般にいわれるものには3種類ある。 誤謬、前提の誤り、そして狭義の逆説である。

誤謬とは、ようするに論理のどこかに間違いがあり、 そのためにありえない矛盾が生じるもの。 よくあるのが 0=1 の証明の類である。 これは厳密にはパラドックスではない。バグである。

前提の誤りというのは、 論理のどこにも間違いは無いが、 最後に結論を比較した際に世の常識と反する、というものである。 これは何のことはなくて世の常識の方が間違っている。 ようするに、世の常識に根拠が無かったということだ。

しかし、前提から論理構造まで全て正しいのに矛盾した結論が出る事はある。 これが狭義の逆説である。

数学的には、逆説は自己言及能力を持たせると必ず発生することが知られている。 論理状態を追跡していくと、 ある論理状態変数が真と偽の間を震動する様に論理を組み立てればよい。

x := not( x );
のような形式が最も基本形になる。 当然、状態変数を増やせばよりややこしい記述も可能だろう。

この本はさらに話が先に進む。 ある論理体系に逆説があるかどうか確認するにはどうすればいいのか。 その判断処理にかかるコストはどれぐらいになるのか? 今の所、NPであることは確実だ、と言う。 つまり、ある論理体系に矛盾があるかどうかを確実に判断する方法は、 一般的に言って総当たり戦しかなく、 故に規模が比較的小さい段階でこの宇宙の寿命が先に来るほどの時間を かけないと分析できないことになるわけだ。

論理状態変数が震動するような論理の組み方にはいくつもパターンがあるが、 その中には全知の逆説というものがある。 これは時系列を遡って情報が流れるように環境を作ることで、 情報の依存関係に逆流を起こすタイプである。 この形式に囚人のジレンマ系の環境を設定すると、 かなりいやらしい問題が作り出せる。

この本の面白い所は、 普通の説明と違って人はそのような問題に対してどのように間違うか も言及してある点だ。当然そこからの脱出法も書いてある。
特に数学に苦手意識を持っていた人は一度読んでみる事をお勧めする。 もしかしたら、あなたが陥った罠が書いてあるかもしれない。

Title: 死の病原体 プリオン
Author: Richard Rhodes
ISBN: ISBN4-7942-0832-4
CCODE: C0098
Price: \1900E

狂牛病、スクレイピー、ヤコブ病、アルツハイマー… これらは感染性たんぱく質「プリオン」によってもたらされる病であり、 まさに「プリオン」こそが問題の根元である、 と主張する本。

もしその通りだとするとこれはかなり怖いことになる。 ウィルスとかと違い、プリオンは「死んで」いる。 これ自体は一種のたんぱく質に過ぎないからだ。 そのたんぱく質が、同種のたんぱく質の異性体に感染し、 それが原因で病が広がっていく。

ウィルスよりも小さく(セラミックフィルターをすり抜ける)、 熱に強く(360度の高熱を当てても性質が変わらない)、 放射線照射をしても死滅しない。 こんな性質を持った、「脳がスポンジと化す」病には、 ウィルスのような『巨大』で『情報多寡』な原因は考えられない、 という筆者の主張はとても説得力がある。 問題は、どうやって証明するかで…。

Title: ミーム・マシンとしての私(上)
Author: Susan Blackmore
ISBN: ISBN4-7942-0985-1
CCODE: 忘却
Price: 忘却
Title: ミーム・マシンとしての私(下)
Author: Susan Blackmore
ISBN: ISBN4-7942-0986-X
CCODE: 忘却
Price: 忘却

脳の進化に伴って、ミームという新しい情報子が現れた。
ミームは脳をその保存メディアとし、
他者の行動の観察を転送メディアとして増殖する。

簡単に言えば、ミームとはそういう物だ。 ミーム論はこのようなミームをより厳密に定義し、 その存在を証明し、 その果たしている・果たしてきた役割を解析することにある。

この本は、人間の進化の最後の一押しはミームであり、 今でも人間の行動の多くに見られる特徴はそのことを説明している、 と主張している。

残念ながら、ミームは利用しているメディア、 つまり脳に対する我々の解析・理解が不十分であることも手伝って、 厳密には定義されておらず、 また、どれがミームに起因しているのかを分離する手だてもない。 従ってこの本に述べられている内容の多くは 仮説 でしかない。 しかし、一つ一つの 仮説 はかなり説得力があり、 また現実にかなり強力な解説を与える。

一読の価値がある本である。

Title: エレガントな宇宙
Author: Brian Greene
ISBN: ISBN4-7942-1109-0
CCODE: C0042
Price: \2200E
Publisher: 草思社
Publish Date: 2001年12月25日第1刷発行
2002年2月6日第9刷発行
原著: "The Elegant Universe"

超ひも理論。

この宇宙を11次元方向に震動する弦で表現すると、 量子力学と相対性理論のもつ矛盾点が解決したり、 ビッグバンの持つ謎「点から始まる」事が解決したりと、 不思議な性質を持つこの理論の 定性的な側面を説明した一冊。

相対性理論の不思議な性質も、 おそらく最も解りやすい形で説明されている。 多くの人にとって、この本は目から鱗の一冊のはずだ。 是非読まれたい。

Title: 蝶々はなぜ菜のにとまるのか
日本人の暮らしと身近な植物
Author: 稲垣栄洋
絵:三上 修
ISBN: ISBN4-7942-1530-4
CCODE: C0045
Price: \1400E
Publisher: 草思社
Publish Date: 2006年10月31日 初刷発行

日本の生活・風習・風景をうたったうた などには数多くの植物が出てくる。

さて、ここで問題。 それらはなぜ「そのように使われている・表現されている」のでしょう?

もちろん、それらには理由があり、 実は意外と科学的だったりする。 この本は、そのような昔からの風習がどうしてそうなっているのか、 を説明してくれる一冊。

もちろん、本のタイトルになっている
「蝶々が菜の葉にとまる理由」
風習ではありませんけれどね。

Index
タイトル著者初出
Overstructured Management of Software Engineering Gerald M. Weinberg originally appeared as course notes in Problem Solving Leadership Workshop. Reprinted from Proceedings of the Sixth International Conference on Software Engineering, September 13-16, 1982, Tokyo, Japan, pp.2-8.
No Silver Bullet: Essence and Accidents of Software Engineering Fredrick P. Brooks, Jr. Information Processing '86 (North Holland: Elsevier Science Publishers B.V.). Reprinted from Computer, Vol.20, No.4 (April 1987), pp.10-19
Understanding and Controlling Software Costs Barry W. Boehm and Philip N. Papaccio Copyright © 1988 by the Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.Reprinted from IEEE Transactions on Software Engineering, Vol.4, No.10 (October 1988), pp.1462-1477.
Relection on Software Research Dennis M. Ritchie Copyright © 1984 by the Association for Computing Machinery, Inc. Reprinted from Communications of the ACM, Vol.27, No.8 (August 1984), pp.758-760.
A Meta-Model for Software Development Resource Expenditures John W. Bailey and Victor R. Basili Copyright © 1981 by the Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. Reprinted from Proceedings of the Fifth International Conference on Software Engineering, March 9-12, 1981, San Diego, Calif., pp. 107-116.
A Software Development Environment for Improving Productivity Barry W. Boehm, Maria H. Penedo, E. Don Stuckle, Robert D. Williamds, and Arthur B. Pyster Copyright © 1984 by the Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. Reprinted from Computer, Vol.17, No.6 (June 1984), pp.30-42.
Box Structured Information Systems H.D. Milss, R.C. Linger, and A.R.Hevner Copyright © 1987 byInternational Business Machines Corporation. Rerinted from IBM Systems Journal, Vol.26, No.4 (1987), pp.395-413.
STATEMENT : A Working Environment for the Development of Complex Reactive Systems D. Harel, H. Lachover, A. Naamad, A. ShtulTrauring Copyright © 1988 by the Institute of Electrical and Electronics Engineering, Inc. Reprinted from Proceedings of the Tenth International Conference on Software Engineering, April 11-15, 1988, Singapore, pp.396-406.
Modula-2 -- A Solution to Pascal's Problems Roger T. Sumner and R.E. Gleaves Copyright © 1982 by Roger T. Sumner and R.E. Gleaves. Reporinted from ACM SIGPLAN Notives, Vol.17, No.9 (September 1982), pp.28-33.
A Rational Design Process : How and Why to Fake It David Lorge Parnas and Paul C. Clements Copyright © 1986 by the Institute of Electrical and Electronics Engineering, Inc. Reprinted from IEEE Transactions on Software Engineering, Vol.SE-12, No.2 (February 1986), pp.251-257.
Self-Assessment Procedure IX" Eric A. Weiss, editor, and Donn B. Parker. Originally appeared in Ethical Conflicts in Computer Science and Technology (AFIS Press, 1981), Edited by Eric A. Weiss for Communications of the ACM, Vol.25, No.3 (March 1982), pp.181-195
Teh Errors of TEX Donald E. Knuth Copyright © 1989 by John Wiley & Sons, Ltd. Reproduced from Software -- Practice & Experience, eds. John Campbell and Douglas Comer, Vol.19, No.7 (July 1989), pp.607-685.
Title: ソフトウェアエンジニアリング 論文集 80'S
Author: Tom DeMarco & Timothy Lister 編集
ISBN: ISBN4-7981-1061-2
CCODE: C3055
Price: \2800E
Publisher: 翔泳社
Publish Date: 2006年9月19日 初版第1刷発行
初出: "Software state-of-the-art: selected papers", copyright © 1990 by Tom DeMarco and Timothy Lister

Tom DeMarco と Timothy Lister が選んだ1980年代に発表された、 ソフトウェアエンジニアリングに関する論文集の中から、 さらに邦訳者が勝手に選んだ部分邦訳本。

原著は非常に面白いのですがなぜこれらだけに絞ったのか、 その辺りの理屈がわかりません。

ま、その辺はともかくとして。

繰り返しになりますが、非常に面白いです。 セルフ・アセスメントの議論辺りは、非常に「古代的」で面白かった。

お勧めです。

Title: 素数に憑かれた人たち
Author: John Derbyshire
ISBN: ISBN4-8222-8204-X
CCODE: C3041
Price: \2600E
Publisher: 日経BP 8204
Publish Date: 2004年8月30日第1版第1刷発行
原著: `PRIME OBSESSION: BERNHARD RIEMANN AND THE GREATEST UNSOLVED PROBLEM IN MATHEMATICS' © 2003 Joseph Henry Press, inprint of National Academics Press

リーマン予想(Riemann Hypothesis:RH)
ゼータ関数の自明でない零点の実数部は全て 1/2 である

四色問題は四色定理になった。
フェルマーの大予想はフェルマーの大定理になった。
そこで、次の攻撃テーマとして挙げられているのが、 本書で説明されているリーマン予想である。

ゼータ関数と言うのは、式自体は結構簡単で
ζ(s) = Σ(n) n-s
というたったこれっぽっちの式である。 この式の計算結果が 0 になる点が零点なわけだが、 これには自明な零点として負の偶数(-2,-4など)があることが判っている。

問題は、sが複素数空間に広がったとき、 これ以外にも零点が出てくるのだが、 その実数部が1/2以外に存在するかどうかという点だ。

当然のごとく、この問題はまだ片付いていない。 片付いていたら次の攻撃テーマなんぞになるわけがない。 このためもあって、この本はベルンハルト・リーマンの人生に紙面の6割を、 数学には4割をあてていて、 それでも説明としてはかなりあいまいになっている。

ただ、基本を説明する所はとてもよく書かれていて、 素人にも(というか素人にこそ)読みやすい。 そして、ここに書かれていることをもっと詳細に理解しないと、 実はリーマン予想は理解できない。

だってねぇ。
ζ(s) = Σ(n) n-s
という式の s に負の偶数を入れるってことは、
ζ(s) = Σ(n) ns
という式の s に正の偶数を入れるってことでしょ?
ζ(s) = 12 + 22 + 32 + 42 + ....
という式のどこをどう取ると0になるっていうのさ?!?

という疑問は最も至極だからだ。 でも理由は結構簡単だったりする。

というわけで、この本は意外な事がいろいろわかって面白いので、 特に数学の苦手な人にお奨めである。

Title: 不確定性 -ハイゼンベルクの科学と生涯
Author: DAVID C. CASSIDY
ISBN: ISBN4-8269-0083-X
CCODE: C0040
Price: \9500E

科学ドキュメント。

「ものは確率的にしか存在しない」
という有名な不確定性原理を導いたハイゼンベルクの 生涯を紹介したもの。

ただし、あまり面白くない。 不確定性原理自体が難しくて「面白くない」のもその通りだが、 それ以上に作者の技量に問題がありすぎる気がする。

話のフォーカスがクリアではないのだ。

Title: 物理学 A (力学)
Author: 小口武彦
ISBN: ISBN4-8375-0531-7
CCODE: C3042
Price: \1600E
Publisher: 槇書店
Publish Date: 1984年4月5日初版発行
1985年3月10日1版2刷

大学の物理(A)の教科書。 表題通り、剛体力学の教科書。

Title: 物理学 C (波動・熱学)
Author: 小口武彦
ISBN: ISBN4-8375-0532-5
CCODE: C3042
Price: \1600E
Publisher: 槇書店
Publish Date: 1984年4月5日初版発行

大学の物理(C)の教科書。 表題通り、『波』並びに『熱力学』の教科書。

Title: 物理学 D (原子物理学)
Author: 小口武彦
ISBN: ISBN4-8375-0534-1
CCODE: C3042
Price: \1800E
Publisher: 槇書店
Publish Date: 1984年4月5日初版発行

大学の物理(D)の教科書。 表題通り、『原子物理学』の教科書。

Title: 純粋人工知能批判
Author: Hubert L. Dreyfus, Stuart E. Dreyfus
ISBN: ISBN4-87148-366-5
CCODE: 忘却
Price: 忘却

人工知能は作れないと主張する本。

主張根拠は 従来言われている人工知能は、 そのことごとくが論理モデル型であり、 それらは非論理構造を有する脳と等価足り得ない というもの。

『人工知能は作れない本』の大半がこいつの粗悪複写品であるぐらい この本はしっかりしている。 この手の本に共通している、
「従来の人工知能研究が知能研究とは呼べないものだった」
という事実と人工知能は作れないという結論の間がカラッポなのも この本の受け売りだからだろう。

ドレイファス兄弟の犯した最大の間違いはそこである。 彼らは計算機と脳の構造上の違いと、 従来の人工知能研究の欠点を人工知能が作れない理由の2大柱としているが、 『脳』と『計算機』は「数学モデル上で」一致すれば良いだけだし、 従来研究は『可能/不可能論』とは関係ない。

しかし、この本は資料的にも、文章的にも、優れている。 だいたい読んでいて飽きない。 是非、一読を勧める。 ただし、著者の意見に飲み込まれないように。

Title: 超空間
Author: ミチオ・カク著、稲垣省五 訳
ISBN: ISBN4-88135-147-8
CCODE: C1342
Price: \2718E

超弦理論(Super String Theorem)というのをご存じだろうか。 この世の全ての物質は10次元(あるいは26次元)の「紐」の振動 の産物である、 という物理理論である。

20世紀に入って以降の物理学は、ある意味 「物理現象を記述するための次元数との戦い」 だったといっていい。

アインシュタインの相対性理論は世の中の現象が3次元(時間によって 支配される3次元現象)ではなく、 4次元(時間さえ影響を受ける)の方程式が必要であることを示した。 この等式はすぐにカルツアによって5次元にして電磁力も包含できる 形に書き直されている。

これ以降、 量子力学は「乱数」という観測不能な内部状態変数の存在を 仮定しないと説明できない物理現象を次々と説明してのけた。

この「次元増大」の今の所の究極の形が超弦理論である。

確かに、次元数をはね上げてやることで、 従来我々が「乱数」だと思ってきたものも、 実はプランク長しかない次元のある状態をピックアップしているのだ、 と説明することができる。 このような小さな次元は分離計測ができないので、 ブラックボックスの外から観察していると、 乱数のように見える。

とまぁ、このような感じのお話が説明されている本。 基本的に科学ドキュメンタリーであって、 教科書ではないのでそんなに数式は出てきません。 判らなくても全然大丈夫。


この本の紹介に当たっては、 珍しく翻訳者を紹介している。 この本では、作者の記述に対してキーポイントで、 かなりの「訳者注」が入り込んでいるのだ。 しかも、かなり「根元的」で、 『説明が面倒なので簡単な話に近似している』 のとはちょっと違いすぎる間違いを是正したり、 突っ込みを入れたりしている。

実質「訳注:超空間」という本だと思った方がよいぐらいなので、 こういう紹介の仕方にした。

読んで面白いかというと…確かに面白い。 これを読んでおくと、概念把握としてとても有利だろう。 でも、一回読めば十分。 古本屋で探して、読んで、すぐ売り払うのが妥当かと。

Title: B-GEEKS advanced edition Vol.1 アリエナイ理科ノ教科書
Author: 薬理凶室
ISBN: ISBN4-915540-77-4
CCODE: C9443
Price: \1714E
Publisher: 三才ムック Vol.87 図解 アリエナイ理科ノ教科書 2004年3月26日発行
Publish Date: 2004年3月26日発行
Magazine Code: 54177-87

害虫の捕獲と飼育・繁殖法。 一般家庭薬品や普通に手に入る薬品から麻薬や毒の一歩手前の化学物質を合成する方法。 ニコラ・テスラ・コイルの作り方…

生物学、化学、物理学(これはちょっと電磁気学に偏っているが)の3つについて、 大雑把に高校生の学力で理解できる範囲で、 ちょいっとアンチモラルな危険なことをやってみせる、 『科学ってほら、楽しいでしょ』本。

意外に思う人がいるとしたら心外だが、 ここにある内容をきちんと把握する、 という事は 実は高校で習う科学の内、地学以外の全学問について、30% ぐらいの知識を持つ、 という事だ。 つまり、ここに書いてあることは、実は頭が良い高校生なら皆わかることで、 あとは小遣いとのご相談でしかない。

是非読んでみることをお勧めする。 もし、高校卒業してここに書いてあることに気がついていなかったら、 ちょうど良い機会だ。 自分が本当は何を習ったのか、 勉強しなおすよすがになると思う。

理工学系一般教育 微分・積分 教科書 占部実・佐々木右左・光藤富士男・高橋正之・羽田野三郎・船越順三・前田周一郎・白石理哉 編 -- 定価1500円

共立出版株式会社昭和40年3月1日初版第一刷発行。 昭和59年5月25日初版第118刷発行。

大学時代の微分・積分学の教科書。

確かにこの本の内容は、 他の教科書よりはだいぶ『まし』だ。 だからと言って、誤字脱字もそのままに118刷を数えるというのは いかがなものか…。

さらに言えば、「全体の流れ」は相変わらず、無い。

基本システム理論 古田勝久 & 佐野 昭 -- 定価2000円

大学の、制御工学科での教科書。 可制御性、可観測性などが丁寧に説明されている。

新統計概論 森田優三 -- 定価2700円
第一版統計概論(森山書店)昭和7年
第二版統計概論昭和27年
(増補版)統計概論 増補版昭和31年
第三版統計概論 新版昭和39年
第四版新 統計概論昭和49年

この本は、日本評論社の、この第4版の第15刷。 ただし、タイトルが変っているので、会社側は第一版として数えている。

この本は大学で統計学概論で使った教科書。

この本の本当に素晴らしい所は、 最初に総論があって、 この本が何に関する本で、 どう言う所でこの本が説明している内容が役に立つのか、 説明していることだ。 もちろん、まだまだ不完全で、 この本の構成を説明していないので相変わらず 頭から全部読まないとどこに何があるのか判らないのだが。

ちなみに内容は「統計学概論」。 捻りようもない。

この本を読むと1つだけ良く判ることがある。 統計学というのは「理論が判っても駄目だ」と言うことだ。

統計は「独立性」という概念に完全に依存している。 沢山のものが互いに何の影響も与えないならば、 それらを測定して得られる結果はその「沢山のもの」の 「測定基準」に対する「確率の雲」そのものを表しているはずだ、 という大前提に統計というものは因ってたっているわけだ。 この大前提が成り立つ場合にのみ、 二つの測定基準に照らして同じものを計測したときに、 計測対象となった集団はその二つの測定基準の間に関して 相関性を持つ、持たないを述べることができるようになる。

逆の言い方をすれば、 「独立性がない」場合は、 どんな相関性でも導き出せるし、 いかなる相関性がないようにもできる、 と言うことだ。

独立性は統計のいかなるテクニックを使っても判断することはできない。 相関性がないことが判る程度でしかない。 そして「独立性」とは「意図して選んだわけじゃない」という『意味ではない』。 そこを完全に無視して統計を濫用して すっとこどっこいな結論を導き出す事の何と多いことか…

嘘だと思うなら、 様々な統計に関して「独立性の証明」を調べてみるがいい。 「意図して選んだわけじゃない」以上の内容などどこにもないものが 山のようにある。

Title: 数学で読み解くあなたの一日
Author: Jason I. Brown
ISBN: ISBN978-4-15-209159-8
CCODE: C0041
Price: \2000E
Publisher: 早川書房
Publish Date: 2010年9月20日 初版印刷
2010年9月25日 初版発行
原著: "OUR DAYS ARE NUMBERED -How Mathematics Orders Our Lives", Copyright © 2009 by Jason I. Brown

Jason Brown 教授の日常を通じて、 その日常の背後に潜む数学をエッセイ風にまとめた一冊。

確率と統計、九去法、単位換算、グラフと図、フラクタル、素因数分解、音楽の旋律と数学… 日常には算数と数学が溢れている。 しかも計算機のお陰でますます溢れている (当たり前だ。計算機ができるのは本質的には計算だけだもの。 通信も何もかも、計算の上に立脚しているのだもの)。

そんな日常に溢れている算数を 一つ一つ紐解いてくれる。

これを読んだ人が、ひとりでも多く数学や算数が好きになるといいなぁ、 と願いを込めて、大お薦め。

Title: その数学が戦略を決める
Author: Ian Ayres
ISBN: ISBN978-4-16-369770-3
CCODE: C0098
Price: \1714E
Publisher: 文藝春秋
Publish Date: 2007年11月30日 第1刷発行
2008年2月20日 第5刷発行
原著: "Super Crunchers" -why thinking-by-numbers is the new way to be smart- Copyright © 2007 by Ian Ayres

データマイニングという技術がある。

複数の、一見互いに無関係に見えるデータを取り、 それらの間に何らかの相関がないか、 相関がある場合はどれとどれとがどのような寄与関係にあるか、 相関を調べる。 こうして得られた回帰分析の結果は、 たまに「?!」としか表現のしようがない不思議な結論を出してくる。

あるいは、複数の候補があってどれが良いのか決められない場合、 予め基準を決めた上で、どちらがよりよい結果をもたらすのか、 ランダムサンプリングを行って調査する事もできる。

これらの統計学的手法は、計算機のパワーの増大と、 インターネットなどによる情報取得の簡便さによって大幅に 応用範囲が広がった。 今では、ワインのでき、新人野球選手獲得、Amazon でのお勧め本、 飛行機チケット代の割引率…今ではおおよそ何にでもこれらは適用可能になりつつある。

実際、原著のタイトル、"Super Crunchers" は "The End of Intuition" と どちらが良いのか、Google Adwords で実験して決めたそうだ。

この本では、このような大量のデータをバリバリと噛み千切って処理する様を、 Super Crunchers と表現している。 データ処理をするさまは、まさにその名前に相応しい。

ちなみに、邦訳ではそれをさらに絶対計算と訳しているが、 これは失笑ものだ。 また、タイトルも「その数学が…」いや、数学じゃないから。 数学的には何も変わっていなくて、 膨大な算数をしているだけだし。

この本には掲載されていないが同じような手法で、

  • プログラムに残っているバグの数の推測
  • あるプログラマが犯しやすいバグの種類
なんてのも判る。

やはりこの本最大の盛り上がりは、 回帰分析の結果が専門家の予測や、医者の判断を上回る事がある、 というポイントだろう。 考えて見ればこの手のものは、 数多くの事例を見てきた専門家が、 それらから因果関係を推測してそれを新しい案件に適用しているのだ。 バイアスがかかったり一部の事例を忘却する人間と、 バイアスがかからず忘却もしない計算機と、 どちらが優秀な予測をするか、議論の余地などない。

と言うわけで、計算機パワーの増大に伴って、 統計によるより正確な予測とそれによるリスク軽減や インカムの増大が可能な世界がやってきた。

このことが何を意味するのか、 丁寧に考える必要があるだろう。

Title: ハチはなぜ大量死したのか
Author: Rowan Jacobsen
ISBN: ISBN978-4-16-371030-3
CCODE: C0098
Price: \1905E
Publish Date: 2009年1月30日 第1刷発行
2009年4月25日 第5刷発行
初出: 文芸春秋
原著: "FRUITLESS FALL -The Collapse of the Honeybee nad the Coming Agricultural Crisis", COPYRIGHT © 2008 BY Rowan Jacobsen

Colony Collapse Disorder (CCD:蜂群崩壊症候群) という奇病がある。 セイヨウミツバチが失踪するのだ。 巣箱にはちみつと、花粉と、女王蜂と、世話をするべき幼虫たちを残して。

ほぼ全ての被子植物は、動物による花粉の媒体を必要としている。 というか、そもそも花はそのために進化した。 で、その中でも蜜蜂は非常に優秀な花粉の媒体で、 蜜蜂の数と勢力が農作物の生産量を大きく左右すると言っても過言ではない。

その蜜蜂が突如、いなくなるのだ。 残っている蜜蜂も組織だった動きをせず、巣は崩壊寸前の状態に陥る。 養蜂家にとってはもちろん、 例えばカリフォルニアのアーモンド農場のように、 蜂による受粉を工夫することで生産高を爆発的に伸ばしてきたものにとって、 これは致命的だ。

この本は、農業における蜂の役割と、 CCD の症状、原因救命について書かれた本。 CCD はこの本が書かれた当時も現在も、真因は判っていない。 農薬説、ダニ説などいくつもある。

この本で、後半特に注目しているのは「疲労・栄養失調」説だ。 アーモンドの開花は1月末から2月。 明らかに蜂にとってはまだ越冬中のハズの時期で、 それ故にフロリダやテキサスの暖かい地域で、 強引に越冬を中断されてカリフォルニアに送られる。

越冬後、蜂は一気に個体数を増やそうとする。 そのために花粉を大量に集めるのだが、周囲にはアーモンドの花粉しか無い。 偏った種類の花粉だけで育てられた働き蜂は、ストレスに弱く、寿命も短い。 これが巣の働き蜂代謝リズムを狂わせる、というわけだ。


この本では、蜂の生態が生き生きと描かれている。 取引コストが最小の群体では、 個体がさして賢くなくても、 群体全体では非常に高度な知性を持ちうること、 逆にそれ故に些細なノイズからでもその調和は崩れることが判って面白い。

表紙が虫嫌いにはかなり刺激的だが、 それを克服する価値がある内容だと思う。

Title: データマイニングによる異常検知
Author: 山西 健司
ISBN: ISBN978-4-320-01882-2
CCODE: C3041
Price: \3800E
Publisher: 共立出版
Publish Date: 2009年5月25日 初版第1刷発行

人間は 今まで経験してきたことと違う現象 を目にすると、 そのことを検知する能力がある。 この性質を利用して、システム異常が発生した事を人間に検知させることができる。

できるのだが、人間は疲れるし、間違えるし、 見なくちゃいけないデータが多くなると追従できなくなるぐらい遅い。 そこで、これを計算機にやらせるとしたらどうすればいいか? というのが この本のお題目。

基本は、データログを時系列順に、 忘却型学習アルゴリズムというものに放り込んでいく。 ある程度たつと大昔勉強したことは忘れるタイプの自己学習システムだ。 で、こいつに「今までと違う」ものを検知させるわけ。

異常検知にも目的に応じてある程度種類がある。

  • 外れ値検出
  • 変化点検出
  • 異常行動検出
の3つが基本パターンで、それをさらに応用した次の2つがある。
  • 集合型異常検知
  • 潜在的異常検知

この本は以上のポイントについて説明している珍しい本で、 とても参考になった。

が、この本の面白い点はこれだけじゃない。 「問題側から」順に説明しているのだ。

「異常検出ってこういうことですよ」というポイントを説明しようとすると、 大抵の本は

  1. 基本となる学習システムの数学モデルだの何だのを延々説明して、
  2. 最後に現実への応用…
という順番になる。 当たり前だが、その数学モデルとやらがなぜ必要なのか、 本を読み始めた段階ではさっぱりわからない。 で、忍耐力がないとその本は枕になってしまう。

しかし、問題を提示し、 「ま、とりあえずこういうものがあると思いねぇ」と厄介な部分はスキップしながら 問題の解決策を示す。 で、そうすると「こういうものがあると思いねぇ」が意外と同じもので済んでいる事が 見えてくる。 しかる後に、「じゃぁさっき言った『こういうもの』の話だが」と数学モデルの説明がくる。 この書き方は結構参考になった。

変化点検出 のプログラムをまじめにやる必要が出たときのために買った本なのだが、 非常に面白くてためになった。


ちなみに。この本には隠れマルコフモデルを使っている部分がある。

そこ、gzip -1 ぐらいのデータ圧縮プログラムで代行できるから。 圧縮率が突如として悪くなったら、そこが異常行動の開始点だ。

Title: ヤバい統計学
Author: Kaiser Fung
ISBN: ISBN978-4-484-11102-5
CCODE: C0033
Price: \1900E
Publisher: 阪急コミュニケーションズ
Publish Date: 2011年3月3日 初版発行

統計…となっているが、 どちらかというとデータマイニング、と考えると良いかも。

全く同じ統計手法を用いて得られた結論が、 一方で受け入れられ、もう一方で拒絶される。 そのようなペアを五例示して、 両方に共通している所、受け入れられるか・受け入れられないかがひっくり返るポイント、 その異常さを提示している。

5つのペアで議論されているのはそれぞれ次の通り:

  1. 平均ではなく分散
  2. 因果関係ではなく相関関係
  3. 「他の条件を合わせ」た上での比較の重要性
  4. 境界値と偽判定問題
  5. 統計的検定

全く知らないトピックは一つもなかったけれど、 どれも非常に面白い形にまとめられていた。

個人的には『「他の条件を合わせ」た上での比較の重要性』がお薦め。 あなたは何度、条件合わせを考慮せずに比較して「相関がない」などと ボケをかましただろうか?

Title: ミツバチの世界
Author: Jürgen Tautz
写真 Helga R.Heilmann
ISBN: ISBN978-4-621-08270-6
CCODE: C0045
Price: \2200E
Publisher: 丸善株式会社
Publish Date: 平成22年6月25日 発行
初出: "Phänomen Honigbiene", Copyright © Spektrum Akademischer Verlag 2007.

大量のミツバチの写真を掲載することで、 普段あまり馴染みのないミツバチの生態を判りやすく、 かつかなり詳細に記した一冊。

もちろん、専門書としては不足があるだろうが、 啓蒙書としては十二分だ。

当然、やまのようにミツバチのドアップ写真がこれでもかと掲載されているので、 虫が苦手な人は絶対近寄ってはいけない。

結構、分散コンピューティングとかの参考にもなりそうだ。

Title: ミツバチは本当に消えたか?
Author: 越中 矢住子
ISBN: ISBN978-4-7973-5733-2
CCODE: C0245
Price: \952E
Publisher: サイエンス・アイ新書 SIS-166
Publish Date: 2010年6月25日 初版第1刷発行

日本の養蜂界が抱える問題について多面的に調査し、 今なぜミツバチが足りないと言う状態に陥っているのかについて調べた本。 ミツバチの生態などについてもある程度まとめられていて、 新書サイズとしては網羅性の高い一冊。

問題は、ストーリー性がないこと。 つまり、章ごとにばらばらな内容が、 一つのストーリーで編みあがることなく、 べちょーーーーっと書かれていて、それで終わり、と言う点。 なので、読んでいても、読み終わっても、
お前は何が言いたいのじゃ〜〜〜〜
と言う読後感しかもてないこと。

結果的に判るのは「後継者不足なのね」と言うところと、 「意外と立場が弱いのね」と言うところぐらい。

今3ぐらいですかね。

Title: ポアンカレ予想を解いた数学者
Author: Donal O'Shea
ISBN: ISBN978-4-8222-8322-3
CCODE: C0041
Price: \2400E
Publisher: 日経BP社
Publish Date: 2007年6月25日 第1版第1刷 発行
原著: "The Poincaré Conjecture" In Search of the Shape of the Universe, Copyright © 2007 by Donal O'Shea

ポアンカレ予想: 多様体の基本群が単位元でありながら、その多様体が3次元球面と同相でない可能性はない

2002年11月11日。 グレゴリー・ペレルマンはポアンカレ予想が真である事を証明した。

この本はここにいたるまでの数学者の苦悩を描いた一冊… なのだが、それ以前にこのポアンカレ予想が何を言っているのか、 そのかなり判りやすい説明をしてくれる一冊でもある。


ボールを考えて欲しい。
そのボール上に一箇所、点を決める。 この点から線をずんどこずんどこと描く。 最後に同じ点に戻ってくるように線を描く。
線は折れてもいいが、途中で切れちゃ駄目。 枝分かれしても駄目。
このような線にそって糸を引っ張っていく。 糸の両端は同じ点(最初に決めた点)にあるよね。 で、最初に決めた点で、この糸をぐんぐんと巻き取っていく。 糸は最初引いた線上を離れて、 あちらこちらでたわみながら…最終的には全部巻き取ることができるはずだ。

ドーナッツを考えて欲しい。 このドーナッツ上で先のボールと同じことをしようと考える。
ドーナッツはチューブをグイッと曲げて、 両端をくっつけたような形をしている。 この両端をくっつける前のチューブを想像して欲しい。 適当な平面でチューブを輪切りにする(本当に切っちゃ駄目だよ。そういう断面を考えるだけ)。 で、この輪切りの断面に沿って線を引き、糸を張る。
糸を張った状態でチューブをドーナツ状にする。
さて、この糸、引っ張って引っ張って引っ張って… でも、どうやっても全部巻き取れない。 必ず「チューブの周りをぐるりと一周する」感じで、糸が残ってしまう。 これ以上縮めようとすると、チューブの方を… つまりドーナツの方を縮めなくちゃいけなくなる。

ボールの表面と、ドーナッツの表面は、どちらも次の3つの条件を満たす。

  • 有限の面積しかない
  • どこからどの方向へいくら移動しても果てがない
  • どこもかしこも滑らか
しかし、この3つの条件だけでは、空間が1つの点に収束するか、 それともドーナッツのようにどうやっても無限小には収斂しないのか、 わからない。

さて、今度はボールとドーナッツを4次元に拡張しよう。 4次元のボールの表面は3次元だ(4次元ドーナッツの表面も3次元だ)。 で、この3次元空間が先の3つの条件と同じような条件を満たすとしよう。

  • 有限の体積しかない
  • どこからどの方向へいくら移動しても果てがない
  • どこもかしこも滑らか
これは今、科学者が考えている宇宙のモデルと合致する。

さて。この地球からロケットを飛ばそう。
ロケットには紐が付いていて、ロケットが飛びまくった通りに紐が伸びていく。 で、ロケットはユーターンとかしないでドンドコドンドコ進んでいくと、 あら不思議、地球に戻ってきた。
これで地球には紐の両端が存在する事になる。 両端とも地球に縛りつけたまま紐を引っ張ると…おっ、全部手元に戻ってきた。

何度やってもどうやっても、必ず紐は全部巻き戻ることがわかった。 ここで質問:

この条件の時、宇宙は4次元球の形をしていると考えていい? それとも、4次元球以外にも4次元球と同じ性質を持つ空間の繋がり方ってある??!
「4次元球以外、ありえねーよ」
と言うのがポアンカレ予想。


で、ペレルマンはそれを証明したわけ。

ただし、これはもっと壮大な問題の小さな部分問題に過ぎなかったらしい…

「登り続けてやるぜ。どこまでも続く、この位相幾何学坂をよ…」

というわけで、ポアンカレ予想そのものは証明できたが、 どうもこれはただの一里塚に過ぎなかったらしい…

Title: STATISTICS HACKS -Tips & Tools for Measuring the World and Beating the Odds
Author: Bruce Frey
ISBN: ISBN978-4-87311-335-7
CCODE: C3041
Price: \2400E
Publisher: O'REILLY JAPAN HACKS SERIES
Publish Date: 2007年12月20日 初版第1刷発行
原著: "STATISTICS HACKS" © 2006 O'Reilly Media, Inc.

「シックスシグマ」という方法論が結構流行っている。 正確には「会社が社員にそれを教えるのが」流行っている。 有効性を一顧だにしないまま、 全ての作業は繰り返しであると勘違いしているかのように…。

最初にこの狂気に出会ったのは1993年…だったかな。 IBMで、の事だ。 はっきり言ってソフトウェア開発にシックスシグマが適応できると言う事は、 そいつはソフトウェアを作っているのではなく、 ソフトウェアをCopy & Paste しているだけなので (それも中間バッファとして脳みそと言う最もあてにならない記録メディアを使っている) もうそれだけで論外であり、 その事をこのシックスシグマという方法論のベースになる基本理論自体が示しているのだが…。

とにかく。

その後、転職するたび、後ろから追いかけるかのごとくシックスシグマはやってくる。

で、しばらくすると忘れるわけだ。 何しろ普段は使い慣れない統計学。 はて、アレはどういうことだっけか…コレの定義は何だっけか… 大抵忘却しているし、 だからと言って大学の教科書のような数学の本を見たいとは思わない。 結論が欲しいのであって、そのややこしい数式を直接解くつもりはないのだというに。

そこで、この一冊。

Hackシリーズの中でも特に「最初と最後しか説明しない」「理屈を説明しない」一冊に なっております。ひたすらに統計学の出した結論とその使い方に集中していて、 やたらと便利。

何か、統計を使って相手を言いくるめる必要が出たときのために、 是非、一家に一冊いかがでしょう?!

Title: 食える数学
Author: 神永 正博
ISBN: ISBN978-4-88759-849-2
CCODE: C0041
Price: \1500E
Publisher: Discover
Publish Date: 2010年11月15日 第1刷発行

「数学では飯は食えない」

多分記録に残っている(解読されている)中で、 一番最初にそういわれたのはギリシア時代なんじゃないかと。 で3000年以上経った今も数学は食えない。

一方で。じゃぁ、 数学家出身の人が企業などで製品開発をやると、 これまた全然使い物にならない。

数学科の博士である筆者がこの謎の答を解説していく、 そんな一冊。

ちなみに個人的にはこの答は…微妙ですな。 確かに厳密な証明は工学部の人間は苦手です。

が、数学家の人間が工学部のように数式を「目的を達成するための道具」 として使えないかと言うと…そんな事はない。

個人的には、その苦労は日立製作所中央研究所の性質ではないかと。

Title: ベイズな予測
Author: 宮谷 隆
企画協力: 岡嶋 裕史
ISBN: ISBN978-4-89797-816-1
CCODE: C3041
Price: \2100E
Publisher:
Publish Date: 2009年3月20日 第1版第1刷発行
2009年4月25日 第1版第2刷発行

AとBが同時に起こるとしよう。その確率 P はどのように表される?

P = 「Aが起こる確率」×「Aが起こっているときに、Bが起こる確率」
P = 「Bが起こる確率」×「Bが起こっているときに、Aが起こる確率」
P(A)*P(B|A) = P(B)*P(A|B)

このように2通りで表せる。ベイズの定理はようするにこの2つが同じ値になる、ということ。

しかし、これはとても重要なことを述べている。

P(B|A) = P(B)*P(A|B) / P(A)
Bが起こったときにAが起こる確率は計測できる。 Bが起こる確率もAが起こる確率も計測できるとしよう。 じゃぁ、Aが起こったときにBが起こっている確率は?

もし「Aが起こったときにBが起こっている確率」が1.0に近いなら、 「Bが起こるためにはAが必要だ」という因果関係が見つかるかもしれない。

AもBも起こっていないときに P(B|A) を求めることが出来たとしよう。 その後でAという事象が起こった。つまり P(A)=1.0 に変化した。 この時に P(B|A)は変化したかしないか?? つまり事後確率は変化したかしないか?? もし変化したら、それに合わせて戦略を変えるべきだよね??

このようにベイズの定理は事後確率を多用する主観的確率論にとって とても重要な定理。 モンティー・ホール・ジレンマ を理解する上で、重要な定理でもある。


で、この本、実は具体的な説明がありそうで全然無い、という不思議な本。 ベイズ推定を使って何が出来るかは言うのだが、どうやるのかはほとんどない。 はて〜??? と思っていたら。

第3章でやっと理由がわかりました。

Microsoft Office 2007 … Excel と Visio には、 Office 2007用 SQL Server データ・マイニング アドインというものが別途あって、 これを使って Microsoft SQL Server 2008 に接続することにより、 ナイーブ・ベイズ推定ができるようになるんですね。

というわけで後半 1/3 はこれらのデモの操作方法の説明なんですが… まぁ、すぐに分かるのはナイーブ・ベイズは余り役に立ちそうもない…ということですね。 時系列的なデータの多くは間に数クッションおいてあることが多い。 それを無視してナイーブ・ベイズを使ってもあまり価値はない。

数クッション分隙間が空く…あるいは意味があるようにデータ列を変更する作業を 人間がやるのでは意味がないし…

とはいえ、結構面白い機能だし、 なかなかイけてる機能だとも思います。 普通の一般社員でもこれだけのリソースにアクセス出来るのであれば。

結局、会社がケチンボでそういうものを一切買ってくれない、というのが 日本企業に務めるサラリーマンの最大の悩みなので…

というわけで、入門書以前のレベル。 んー、読まなくてもいいとは思うよ。